COLUMN コラム
住宅の長期保証とは?瑕疵保険10年との違いと確認したい5つのこと
家づくりを検討していると、「長期保証」「最長60年」といった言葉に出会います。数字が大きいほど安心に見えますが、保証期間の長さだけでは、その家の品質までは分かりません。
保証とは「万が一のときに直します」という約束です。だとすれば大事なのは、そもそも不具合が起きにくい家をどう建てるか、そしてその品質をどうやって記録に残すかのはずです。
この記事では、住宅の長期保証の仕組みを整理したうえで、私たちが採用している検査・保証サービス『IEMAMORI(イエマモリ)』の中身を、条件も含めてお伝えします。

まず前提:法律で義務づけられているのは「10年」
新築住宅には、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、10年間の瑕疵担保責任が定められています。対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」。基礎や柱などの骨組みと、屋根・外壁まわりの防水です。
さらに住宅瑕疵担保履行法により、事業者には保険への加入か供託が義務づけられています。保険に加入する場合は建築中に第三者の現場検査が行われますが、その回数は基礎と躯体を中心とした数回程度が一般的です。
つまり新築住宅であれば、どの会社で建てても10年間の備えはあります。長期保証とは、この10年の上に何をどれだけ積み増すか、という話です。
保証の中身は、「建てている最中」で決まる
ここが、今日いちばんお伝えしたいところです。
保証書は、完成した家に対して発行されます。けれど家の品質が決まるのは、その何ヶ月も前、壁や床がふさがれる前の現場です。
『IEMAMORI』では、第三者機関の検査員が工事の節目ごとに現場へ入り、10の工程を確認します。

この10工程のうち8つは、完成すると壁や床の中に隠れて、二度と確認できなくなる部分です。屋根の防水下地、構造金物の取り付け、断熱材の施工状態、外壁の内側の防水処理。お引き渡しのときに、お客様がご自分の目で確かめることは、もうできません。
だからこそ、見えなくなるその瞬間に、工事の進行にも金額にも利害のない第三者に立ち会ってもらう。これが、長期保証を裏づける実質だと私たちは考えています。
検査の結果は、報告書として手元に残ります
各工程の検査結果は現場写真とともに記録され、検査結果報告書としてお客様にお渡しします。
「丁寧に施工しています」は、どの会社でも言える言葉です。けれど10回分の写真と記録が並んだ報告書は、言葉ではなく記録です。将来リフォームをするときにも、売却を検討されるときにも、その家の履歴書として役に立ちます。

保証は初期20年、条件を満たせば最長60年
法律上の義務が10年のところ、『IEMAMORI』の保証は引き渡しから初期20年です。対象になるのは、たとえば次のような状態です。
- 雨水の浸入を防止する部分(屋根・開口部・外壁) ── 屋内への雨漏り、仕上材の剥がれ、室内の汚損
- 床 ── 傾斜・変形・破断など、振動の著しい状態
- 基礎 ── ひび割れ、不同沈下など、欠損の著しい状態
そして、条件を満たせば保証期間は最長60年まで延長できます。ここは、はっきりお伝えしておきたいところです。
60年は「何もしなくても守られる期間」ではありません。
延長には、所定の定期点検と維持管理検査を受けていただくことが必要です。20年目以降の点検・検査は有償となり、その結果、必要なメンテナンス工事が発生することもあります。
| 法律で義務づけられた保証 | IEMAMORIの初期保証 | 延長保証 | |
|---|---|---|---|
| 期間 | 引き渡しから10年 | 引き渡しから20年 | 最長60年まで |
| 対象 | 構造耐力上主要な部分/雨水の浸入を防止する部分 | 同左(屋根・開口部・外壁/床/基礎など) | 同左 |
| 加入 | 事業者に義務(保険または供託) | 任意。当社は全棟で採用 | 任意 |
| 条件 | ─ | ─ | 所定の定期点検・維持管理検査の実施。20年目以降は有償 |
これを書かずに「最長60年保証」とだけ謳うこともできます。けれどそれでは、20年目にお客様を驚かせることになります。この保証の本当の意味は、「点検と手入れを続けていただく限り、私たちも付き合い続けます」という長い約束です。家は必ず経年変化しますから、そのほうが理にかなっていると考えています。
引き渡してからのほうが、お付き合いは長い
『IEMAMORI』には、住み始めてからの備えも含まれています。

- 定期点検 ── 引き渡し直後から節目ごとに実施し、築年数に応じたメンテナンスをご提案します
- 住宅履歴の管理 ── 施工中の検査記録から点検・メンテナンス履歴までを一元管理。「手入れされてきた家」であることが証明でき、将来の売却時の評価にもつながります
- 住宅設備の延長保証 ── 給湯器、システムキッチン、エアコンなどの主要設備を、メーカー保証の終了後も保証します
- 緊急駆け付けサービス ── 水漏れ、鍵のトラブル、ガラスの破損などに対応します
- 地盤保証 ── 万が一の不同沈下に備えます
- シロアリ保証 ── 住まいの大敵から建物を守ります
構造と防水だけでなく、暮らしのなかで実際に困る場面までカバーすることができる。ここも、私たちがこのサービスを選んだ理由のひとつです。(※緊急駆けつけサービスはオプションです)
「長期保証がついています」と言われたら、確認したい5つのこと
どの会社で建てるかを検討している段階で、次の5点を聞いてみてください。制度として整えている会社であれば、いずれも書面ですぐに示せる内容です。
- その保証は、建物のどの部分が対象ですか
構造と防水だけなのか、内装や設備まで含むのか。法定の10年に何がどれだけ上乗せされているのかを確認します。 - 建築中の品質は、誰が、何回確認していますか
自社の現場監督だけなのか、第三者の検査員が入るのか。入る場合は回数と、どの工程で入るのかまで聞いてみてください。 - その検査の記録は、手元に残りますか
写真つきの報告書としてもらえるのか、口頭の説明だけなのか。記録が残るかどうかで、後から確かめられることが変わります。 - 保証を延長するには、どんな条件と費用がかかりますか
点検の時期、有償になるのは何年目からか、メンテナンス工事の費用は誰が負担するのか。最長年数だけでは判断できません。 - 引き渡し後の10年保証は、保険ですか、供託ですか
どちらの方法で義務を果たしているか。保険であれば、保険法人名まで確認できます。
これらを尋ねたときに、明確な答えが返ってこなかったり、書面を見せることに消極的だったりする場合は、その理由を聞いてみてください。きちんと運用している会社であれば、説明は難しくないはずです。
アラカワホームデザインの場合
私たちは、株式会社家守りの検査・保証サービス『IEMAMORI』を採用しています。導入したのは、最近のことです。
これまでの家づくりに自信がなかったからではありません。むしろ逆で、自分たちが当たり前にやってきたことを、第三者の目と記録で証明できる形にしたかった、というのが本当の理由です。
施工品質は、言葉ではいくらでも「丁寧です」と言えてしまいます。でもお客様の側には、それを確かめる手段がない。だから、利害関係のない第三者に10回入ってもらい、その記録を全部お渡しする。そこまでやって、ようやく「安心してください」と申し上げられると考えました。
あわせて、範囲と条件も正直にお伝えしておきます。
- 保証の対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。内装や設備の不具合は、別の保証で対応します
- 最長60年への延長には、所定の定期点検・維持管理検査が必要です。20年目以降は有償となります
- 点検・検査の結果、必要に応じて有償のメンテナンス工事が発生する場合があります
- 天災による損害は対象外です。火災保険・地震保険で備えていただくことになります
なお『IEMAMORI』は、株式会社家守りが提供しているサービスです。採用している住宅会社は当社だけではありません。だからこそ、上の5つの質問はどの会社に対しても同じように使えるものとしてまとめました。ご検討中の会社にも、ぜひ同じことを聞いてみてください。
よくあるご質問
Q. 「最長60年保証」は、60年間ずっと無償で直してもらえるということですか?
いいえ。延長には所定の定期点検と維持管理検査が必要で、20年目以降は有償となります。また点検の結果、必要なメンテナンス工事が生じることもあります。「点検と手入れを続けていただく限り、保証が続く」という仕組みだとお考えください。
Q. 建築中の検査は、自社で行うのと何が違うのですか?
自社検査は、工事を進める側が自分で確認するものです。第三者検査は、工事の進行にも金額にも利害のない立場の検査員が確認します。どちらが不要ということではなく、目的が異なります。両方あるのが望ましい形です。
Q. 検査で指摘が出ることはありますか?
あります。指摘は「悪いこと」ではなく、見えなくなる前に直せる機会です。是正した内容も記録に残りますので、報告書には検査の結果がそのまま残ります。
Q. 内装のクロスの剥がれや、建具の不具合も長期保証の対象ですか?
長期保証の対象は構造と防水の部分です。内装や建具については、引き渡しから一定期間の短期保証や、定期点検での対応が中心になります。範囲が分かれていますので、契約前に書面でご確認ください。
Q. 引き渡しのあとに住宅会社が倒産したら、保証はどうなりますか?
法律上の10年保証については、事業者が保険に加入している場合、発注者が保険法人へ直接請求できる仕組みがあります。その先の長期保証の取り扱いは制度ごとに異なりますので、こちらも契約前に書面でご確認ください。
まとめ:年数ではなく、裏づけを見てください
家づくりでは、間取りやデザインに関心が向きがちです。けれど、その家が30年後、50年後にどうなっているかを決めるのは、見えなくなる部分の施工品質と、引き渡してからの手入れです。
長期保証は、その両方をつなぐ約束だと私たちは考えています。大切なのは年数の大きさではなく、何を対象に、どんな条件で、どんな品質管理に裏づけられているのか。この記事の5つの質問は、どの会社に対しても使えるものとしてまとめました。ぜひご活用ください。
私たちの検査・保証の仕組みについては、検査報告書の実物や保証の書面をお見せしながらご説明できます。建築中の現場見学も承っていますので、お気軽にご相談ください。
参考:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」/住宅瑕疵担保責任保険協会「住宅瑕疵担保履行法」/株式会社家守り「IEMAMORI 検査・保証のサービス案内」

監修者
荒川孝行(株式会社アラカワ 代表取締役)
- 保有資格: 二級建築士/宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー
- 経歴: 元大工。注文住宅・リフォーム・不動産を一貫して手がける地域工務店代表
- 得意分野: 土地探し・住宅ローン・資金計画・間取り設計の横断相談










