COLUMN コラム

引き戸・開き戸・ハイドア、正解はどれ?

2025.12.23

引き戸?開き戸?ハイドア?空間を広く見せる建具の選び方

こんばんは。

堺市の工務店で注文住宅を建てているアラカワホームデザインの吉川です。


◆はじめに|ドアを「通るだけのもの」と思っていませんか?

家づくりの打ち合わせでは、外観やキッチン、床材などには時間をかけて選ぶのに、
意外と“ドア(建具)”は後回しにされがちです。

けれど実は、ドアは空間の印象と暮らしやすさを左右する大切な要素
「なんとなく標準のまま選んだ」だけで、
後から「家具が置けない」「動線がぶつかる」「部屋が狭く見える」などの後悔が起こりやすい場所でもあります。

今回は、見た目だけでなく動線・デザイン・バリアフリー性まで考えた、
“建築士目線のドア選び”を解説します。


◆① 建具(ドア)は「使い勝手+印象」を両立するデザインパーツ

住宅の中でドアは、単なる出入口ではなく**空間を仕切る“建築の一部”**です。
1枚のドアで、部屋の印象も広がり方もガラッと変わります。

たとえば――

  • 同じ6帖の部屋でも「引き戸」と「開き戸」では動線効率が違う
  • 「ハイドア」に変えるだけで天井が高く見える
  • 「木目」「マット」「ホワイト」など素材によって高級感が変わる

つまり、ドアをどう選ぶかで**「空間の広がり」「インテリアの統一感」「家事のしやすさ」**までも変わるのです。


◆② 引き戸・開き戸・ハイドア、それぞれの特徴と使いどころ

ドアには大きく分けて3種類。
それぞれの特徴と「どんな部屋に合うか」を見ていきましょう。


🚪【1】開き戸(ドアが手前・奥に開くタイプ)

最も一般的で、昔から多く使われているタイプ。
しっかり閉まる構造なので遮音性・気密性が高いのが特徴です。

メリット:

  • 開閉音が静かで気密性がある
  • デザインバリエーションが豊富
  • 取り付けコストが比較的安価

注意点:

  • 開く方向にスペースが必要(ドアの“開きしろ”分だけ家具を置けない)
  • 小さなお子様や高齢者の転倒リスクに注意

💡おすすめの使い方:
寝室・書斎・トイレなど、「静けさ」や「プライバシー」が大事な部屋に最適。


🚪【2】引き戸(スライドして開閉するタイプ)

壁に沿って横にスライドするタイプのドア。
開きしろが不要なので空間を有効活用できるのが最大の魅力です。

メリット:

  • スペースを取らない(家具配置がしやすい)
  • 開閉が軽く、バリアフリーにも最適
  • 風でバタンと閉まらない

注意点:

  • 気密性・遮音性はやや低め
  • 引き込み部分にホコリが溜まりやすい
  • 壁の内部にレールを仕込む“引き込み戸”は施工費が高くなることも

💡おすすめの使い方:
リビングや洗面、クローゼットなど“家族で共有する空間”にぴったり。
ワンアクションで開閉できるので、手がふさがっているときにも便利です。


🚪【3】ハイドア(天井まで高さのあるドア)

近年、デザイン性の高さから人気が高まっているのがハイドア
一般的なドア高さは2,000mm前後ですが、ハイドアは2,400〜2,700mmと天井まで届くタイプです。

メリット:

  • 視線が抜けて空間が広く見える
  • 天井とのラインが揃い、スタイリッシュ
  • 採光ドアを選べば部屋全体が明るくなる

注意点:

  • 価格が通常ドアより高い(1枚あたり+2〜5万円程度)
  • 重量があるため、金物の選定や施工精度が重要

💡おすすめの使い方:
リビングや廊下など、“見せる空間”のデザインアップに最適。
吹き抜けやハイ天井との相性も抜群です。


◆③ 空間を広く見せる「ドアの見え方」テクニック

ドア選びで空間の印象を広く見せるコツは、“高さ・ライン・色”の3つ。

① 天井ラインをそろえる

→ ハイドアで天井までスッと見せると、目線が上に抜けて開放的。
→ 通常ドアでも「垂れ壁をなくす」だけでスッキリ見える。

② 枠を目立たせない

→ 枠を壁と同色にすると、ドアが「面の一部」に見えて統一感アップ。
→ 特にホワイトやグレー系の壁なら“壁に溶け込むドア”が効果的。

③ 建具の色を床材に合わせる

→ 床と建具の色味を合わせることで、縦の連続感が生まれ広く見える。
→ 逆に濃いドアは空間を引き締めたいアクセントに最適。

💡ワンポイント:

「見せたいドア」と「消したいドア」を決めると、インテリアの完成度が上がる。


◆④ バリアフリー・家事ラク目線でのドア選び

家の中でドアの開閉は、実は“動線のストレス”に直結します。
設計時から動線に合わせてタイプを選ぶことが重要です。

🏠 1. 引き戸は“将来の暮らし”にも強い

  • 車椅子・ベビーカー・荷物を持ったままでも開けやすい
  • 将来的に介護が必要になっても安心

💡 2. 開き戸でも“アウトセットヒンジ”で干渉を防ぐ

  • ドアが壁に当たらず、90度以上開く仕様も可能
  • 通路幅が狭い家でも安全に設置できる

🧺 3. 家事動線には“片引き戸 or 2枚引き戸”がベスト

  • 洗面・キッチン・ランドリー周りでは扉の開閉が重なりがち
  • 片手でもスムーズに開け閉めできる引き戸が◎

◆⑤ 建具選びで後悔しないためのチェックポイント

✅ 扉の開閉方向が、他のドアや家具とぶつからないか?
✅ 通路側に開くドアは、人の通行を妨げていないか?
✅ ドアの高さ・素材・色が、他の部屋と統一感があるか?
✅ メンテナンス性(レール掃除・取手位置)を考慮しているか?

👉 どんなにデザインが良くても、“毎日開け閉めする場所”だからこそ使いやすさ最優先が鉄則です。


◆まとめ|“建具の印象”が家全体の印象を決める

✅ 開き戸=静けさと気密性
✅ 引き戸=省スペースと家事ラク動線
✅ ハイドア=開放感とデザイン性

1枚のドアで、暮らしの快適さも空間の印象も大きく変わります。
「どのタイプをどの場所に使うか」を意識するだけで、
家はもっと美しく、もっと使いやすくなります。

アラカワホームデザインでは、
暮らし方・動線・デザインのバランスを考えた“使える建具設計”をご提案しています。
ドア選びで迷ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。

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