COLUMN コラム
【リビングの位置で暮らしが変わる】
南向きが“必ずしも正解”じゃない理由
こんばんは。
堺市の工務店で注文住宅を建てているアラカワホームデザインの吉川です。
◆はじめに:「リビング=南向き」が当たり前だと思っていませんか?
家づくりの打ち合わせで、よく聞く希望のひとつが——
「リビングは南向きでお願いします」。
日当たりが良くて明るくて、なんとなく気持ちいい。
それが「南向き=正解」という固定観念を生み出しています。
けれど実は、南向きリビングがすべてのご家庭に合うとは限りません。
日当たりが良すぎて夏は暑くなったり、
外からの視線が気になってカーテンを閉めっぱなしになったり…。
本当に心地よいリビングとは、
「方角」だけでなく**“暮らし方”と“環境”に合わせて設計された空間**なんです。
今回は、建築士の目線で
“南向き信仰”に隠れた落とし穴と、
暮らしを快適にするリビングの位置選びの考え方を解説します。
◆1️⃣ 南向きリビングの“イメージ”と“現実”
☀️【メリット】
・冬は太陽の光が奥まで入り、暖かい
・明るく、家全体の印象が良くなる
・植物や洗濯物がよく乾く
確かに、南向きは“ポテンシャル”としては最強。
ただし、それを活かしきれるかどうかは、敷地条件や暮らし方によって変わります。
🌞【現実①】日射が強すぎて“暑い”
夏の南面は、太陽が高く、直射日光が降り注ぎます。
断熱や庇の設計が十分でないと、
「真夏はエアコンが効かない」「床が熱い」といった問題が起こることも。
特にリビングの大開口窓は、“明るさ”と“熱”を同時に運んできます。
👀【現実②】通りや隣家からの視線が気になる
都市部や住宅街では、南側が道路や隣家に面しているケースが多く、
「せっかく南向きにしたのに、結局カーテンを閉めっぱなし」というご家庭も少なくありません。
つまり、“明るさを取るための南向き”が、
逆に“外の視線で閉ざされた暗い空間”をつくってしまうこともあるのです。
🪟【現実③】テレビの反射や家具配置に困る
南面の強い光は、テレビ画面への反射や
床・家具の色あせにも影響します。
「明るい=快適」ではなく、**“光をどうコントロールするか”**が重要なんです。
◆2️⃣ 南向きが正解とは限らない! リビング方位別の特徴
リビングをどの方角に配置するかで、
家の雰囲気や暮らしのリズムが大きく変わります。
☀️【南向きリビング】
✅ メリット:明るく開放的、冬も暖かい
⚠️ デメリット:夏の暑さ・外からの視線・家具の劣化
▶ 対策:庇・軒・アウターシェード・Low-Eガラスで日射をコントロール
▶ 向いている人:日中リビングで過ごすことが多い家庭
🌇【東向きリビング】
✅ メリット:朝日が入り、気持ちよく1日をスタートできる
⚠️ デメリット:午後以降は日が入らず、夕方に暗くなる
▶ 向いている人:朝型の生活・出勤が早い家庭・小さなお子様がいる家庭
東向きリビングは「朝の光で起きる」「午前中に家事を済ませる」暮らしにぴったり。
反対に、夕方以降の明るさが欲しい方は照明計画が重要になります。
🌆【西向きリビング】
✅ メリット:午後〜夕方の明るさが心地よい
⚠️ デメリット:夏の西日が強く、室温が上がりやすい
▶ 向いている人:夕方以降に家で過ごす時間が長い方
ただし、西日は非常に強いため、断熱・遮熱ガラスや外部ルーバーでの対策が必須です。
「夕暮れの光が好き」「夜リビングで過ごしたい」方にはおすすめです。
🌄【北向きリビング】
✅ メリット:柔らかい光が一日中安定して入る
⚠️ デメリット:冬は寒く、暗くなりやすい
▶ 向いている人:アトリエや読書・趣味など、落ち着いた空間を求める方
北向きリビングは、“穏やかな光”で心地よい時間が流れる空間。
写真や絵、植物が映えるので、デザイン住宅や中庭のある家で採用されることも多いです。
◆3️⃣ 立地条件で変わる“正解のリビング位置”
実は、最も大事なのは「どんな敷地に建てるか」。
🏙️【南向き道路の土地】
→ 明るいけれど、通行人の視線・車の騒音・排気ガスに注意。
→ 目隠し壁や中庭で“光は取り入れつつ視線は遮る”工夫を。
🏡【北向き道路の土地】
→ リビングを南側にするとプライバシー◎。
→ 採光を確保するために“吹抜け”や“高窓”を併用。
🌳【東西に細長い土地(いわゆるウナギの寝床型)】
→ 朝・夕どちらの光を重視するかで配置が変わる。
→ 家族の生活リズムをヒアリングして決めるのが◎。
🧭【角地や旗竿地】
→ 角地なら光の取り方が自由、旗竿地なら中庭型リビングが有効。
→ “隣家との距離”と“抜け感”を意識するのがポイント。
◆4️⃣ リビングの「方角」より大切な“3つの設計ポイント”
💡【1】窓の“位置と高さ”で光をデザインする
光は“入る方向”だけでなく“入る角度”でも印象が変わります。
床近くに光を落としたいならハイサイドライト(高窓)、
プライバシーを守りながら明るさを取るなら地窓(低い窓)も有効。
建築では、“光の設計”が“心地よさの設計”なんです。
💡【2】外とのつながり方を考える
南向きでも、隣家や道路が近ければカーテンを閉める生活に。
それよりも、中庭やウッドデッキで“視線をずらして光を取り入れる”方が快適なこともあります。
アラカワホームデザインでは、
「リビングに光を入れながらも、外から見えない設計」を得意としています。
💡【3】暮らしの時間帯を設計に反映する
・朝型の家族 → 東向きリビング
・夜型・共働き夫婦 → 西向きや北向きリビング
・休日中心の暮らし → 南向き×吹抜けで明るく開放的に
大切なのは、“あなたの1日の過ごし方”に合わせて光をデザインすることです。
◆まとめ:方角より“暮らし方”がリビングを決める
「南向きが一番いい家」とは限りません。
大切なのは、“その家族にとって心地よい光と視線の関係をつくること”。
✨ 今日のまとめ:
✅ 南向き=明るいけど暑さ・視線に注意
✅ 東向き=朝型の家庭にぴったり
✅ 西向き=夕方以降リラックスしたい人に◎
✅ 北向き=柔らかい光で落ち着く空間に
リビングは、家族が一番長く過ごす場所。
“方角”よりも“暮らし”を基準に選ぶことで、
毎日の居心地が大きく変わります。
アラカワホームデザインでは、
「土地の条件×家族の暮らし方×光の設計」で、
あなたにぴったりのリビング位置をご提案しています。
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