COLUMN コラム

共働き世帯に求められる住宅設計とは

2025.07.04
注文住宅 家事時短

共働き世帯に求められる住宅設計とは

共働き家庭が増加する現代において、注文住宅の設計においても「家事の時短」や「生活動線の効率化」は極めて重要なテーマとなっている。仕事と子育てを両立しながら日々を過ごすご夫婦にとって、家づくりは“時間を生み出す投資”とも言える。そこで本記事では、共働き夫婦にとって理想的な注文住宅の考え方や、家事の負担を軽減するための具体的な設計ポイントについて詳しく解説する。


時短を実現する生活動線の最適化

1. 玄関からの動線設計で「出かける・帰る」を効率的に

・玄関→シューズクローク→洗面→LDKという「帰宅動線」がスムーズだと、帰宅後の手洗いや片付けが自然に習慣化される。
・ランドセルやコートなど子どもの物も収納できる設計にすることで、リビングが散らからず、掃除の手間も削減。
・朝の忙しい時間帯も、家族全員が交差せずに支度できるよう回遊性のある動線が有効。

2. 洗濯動線の短縮:洗う・干す・畳む・しまうの一体化

・ランドリールームを設け、洗濯機→室内干し→収納(ファミリークローゼット)を一直線に配置。
・共働き世帯では外干しの時間が取れないことも多く、室内干し+乾燥機の併用は大きな味方。
・乾いた洗濯物を畳まずにそのまま収納できる設計も人気で、家事時間の大幅削減に繋がる。


キッチン設計で料理の手間を軽減

1. 作業効率を上げるキッチンレイアウト

・アイランド型やII型キッチンは回遊性が高く、夫婦で同時にキッチンに立つ際も快適。
・調理中の移動距離を最小限に抑えるため、「冷蔵庫・シンク・コンロ」のトライアングル配置が重要。
・キッチン横にパントリーを配置すれば、買い置きやゴミの一時保管もスムーズに。

2. 配膳と片付けを最短ルートで完結

・キッチンとダイニングテーブルの距離が近いと、配膳・片付けが数歩で済む。
・ダイニング側からも使える背面収納を設置すれば、家族全員での片付けも自然と協力体制に。
・食洗機や自動水栓を導入することで、細かな手間も大幅削減。


収納設計で「探す時間」をゼロに

1. 家族全員の動線上に収納を設置

・リビング収納、玄関収納、脱衣室収納、ファミリークローゼットなど、「使う場所の近くに収納」の原則が基本。
・それぞれの行動パターンに応じた収納設計をすると、片付けの手間も迷いも減る。
・収納場所を固定化すれば「どこに置いたっけ?」というストレスがなくなり、日常がスムーズに。

2. “見せない収納”で掃除時間も短縮

・オープン棚ではなく、扉付きの収納を増やすことでホコリが溜まりにくく、掃除の頻度も減少。
・ロボット掃除機対応の設計(床に物を置かない工夫、巾木レス仕様など)で、日々の掃除も自動化できる。


家事分担がしやすい間取り

1. 同時並行ができる空間設計

・「洗濯を干しながら夕飯の準備」「お風呂を洗いながら子どもを見守る」など、家事の“ながら作業”ができる配置を意識。
・家事動線を集中させることで、夫婦で分担しても干渉せず、作業効率が落ちない。

2. 家族みんなが「手伝いやすい家」にする

・子どもにもわかりやすく、手が届く位置に収納や片付け場所を設計することで、自然と家事参加が促される。
・誰か一人に負担が集中しない仕組みこそが、共働き住宅の理想。


スマート家電と連携した住まいづくり

・IoT家電(スマート照明、スマートスピーカー、遠隔操作可能なエアコン・給湯器)と連携した設計で、外出先からでも家の管理が可能に。
・共働き世帯では「朝起きたらエアコンが稼働している」「帰宅前にお風呂が沸いている」など、日常を効率化できる仕組みが鍵。
・スマートロックや宅配ボックスも、防犯性と家事時間の削減に直結。


まとめ:共働きだからこそ「家の設計」が人生の質を変える

共働き家庭の注文住宅において、「家事の時短」や「暮らしの効率化」は、単なる便利さではなく、心のゆとりと家族の時間を生む設計思想である。忙しい日々の中で、家事のストレスを減らし、家族との時間を最大化するためには、丁寧に設計された住まいが必要不可欠である。

「時間に追われる生活」から、「時間を生み出す住まい」へ。
注文住宅だからこそ実現できる、共働き世帯のための理想の暮らしがここにある。

株式会社アラカワ

住宅アドバイザー田中